『万物の根源は○○である』の構造

『万物の根源は○○である』について

#まとめ
・「万物の根源は○○である」といった時に、○○の内容如何ではなくて、その表現が抱える構造自体をみなければならない。
・それを記述する意識も、当該○○から構成されることになるので、○○になりきってみるという試みが重要である。
・自己にとって外側にある「環境」を内部変数として繰り込む方法の導入。表現としては、自己(環境)と書く。
究極の理論なるものを探求するのであれば、表題のような命題に行き着くことは自然なことだろう。その結果として、○○理論などというものが生まれてくるわけである。

 

○○には何を入れるのが適切であると思われるだろうか。

 

実は○○に入るものは何でも構わないと考えている。なぜならば、本当に万物がそれから成っているのであれば「それ以外には何もない」からだ。本当に「○○しかない」のであれば○○を他と区別する手段など何もない。○○という名が持っていたはずの意味は消え失せてしまうのである。

 

○○という名が持つイメージは出発点としては重要であるが、それ以上にすべてはという「構造」自体を重要視するのである。ここにおいて一つの岐路が生じる。

 

では「すべては○○である」と考えている自分自身の意識は○○に含まれるのか?という問題である。○○は世界の全てであるのだから、当然己の意識もその○○に含まれていなければならない。ところがあたかも自分は客観的な観察者であるかの如く錯覚して、その○○を外から観察することに終止してしまうということが往々にして起きるのである。己がその○○になり切れるか否か?これは一つの壁であるのかもしれない。

近年日本人の手による真に革新的であると(少なくとも私は)感じる理論を幸運なことに、幾つか目にしている。それらに共通しているのは、少なくとも上記の壁を乗り越える論理を持っているということである。

 

西洋における理論展開においては、どうもこの「○○になりきって世界をみてみる」という部分が抜け落ちてしまいやすいようだ。自然を征服の対象としてのフロンティアと認識する文化的背景によるものであろう。「われ思う故にわれあり」が第一原理である以上、その延長上で究極の理論を求めた結果「われ」自身がその究極のものの中に溶け込んでしまうような結果を生む方向へと理論を進めることに対しては無意識のうちに肌感覚的な嫌悪感を抱いてしまうのかもしれない。

 

一方日本人(あるいは東洋)においては、自己も大いなる自然の一部であると考えることはむしろ自然なことである。そういった文化的背景からも、日本人の手によって『究極の理論の探求』という行為自体が内在している壁を乗り越えるような理論が同時多発的に発生してくることは、自然なことである。極論するならば、日本語という言語の背景にある構造自体がそれを生み出す原動力を内在しているのであると考えられる。

 

ただしこれによって西洋における歴史の業績を否定するつもりは何ら無い。むしろ「われ思うゆえにわれあり」から出発した近代の文明が辿った歴史を一つの鋳型として認識することによってこそその先が見えてくるのである。

「○○しかない」という状況を詳しく見てみる。○○しか無いという時に、それが他と区別できないのであるから、それがあるという事もわからないのである。つまり、この時点においては意識は存在しないことになる。これを「空」あるいは「無」という。あるいは「無限」といっても良いのかもしれない。どのように表現したところで、それらの区別はできない。

 

以下のような状態である。

(ここではこの枠の中が世界のすべてであると考えている)

 

あるいは次のような状態である。


「無」とか「無限」とか言ったのは、それを外から見ている人間のイメージを当てはめたに過ぎないのであって、その中にあるものからすると「何もない」というふうにしか感じられない(あるいは「何もない」という意識すらない)。尚、これが[前提#1]の状況のイメージである。

 


ここにひとたび点が現れると「何かある」ということになるわけである。「光あれ」でもよいし「原初の音」と呼んでも良いだろう(物理学の文脈においては対称性の自発的破れと呼ぶことになるであろう)。

 

「原初の音」の鳴り響く様子を察知した「無」は大いに驚くのである。「音が鳴っている!」と。そして「音が鳴っていると感じている存在(後に自分と呼ばれる)」に気がついてさらに驚くのである。。。あとは推して知るべし。

 

*余談であるが「枕詞」というのが特定の言葉を引き出すのに和歌などで用いられる。日本語の文化の中で「めにみえぬおにかみ」をも呼び起こすのに用いられるわけだが、なぜ枕詞というのだろうか?と不思議に思っていた。ある寝ぼけている時に、ふと枕の中のそば殻の音がなるのが聞こえてこの音はなんだ!?と驚いたことがあった。そして、ああ、なるほど枕詞というのは、眠っているかみさまの枕元に音をならして起きてもらうという意味なのか、と思った。

最後に「○○になりきる」ということから派生する世界観について注記をしておく。人間のイメージする能力においては、物体を伸び縮みさせることも可能であるし、小さくなることも、大きくなることも可能である。「○○になりきる」というのは、質の違う解像度で世界を見る有力な方法である。

 

「○○になりきる」ということは、それを「単位1」とすることに他ならない。そういう意味で、普段われわれは「人間になりきって」なおかつ「人間を単位存在として」世界を見ているわけである。

 

さらに、「物質的世界」をベースにして世界を見るということは、背後に「非物質的世界」があるかもしれないということを暗に意味している。ここにおいて世界が「物質/非物質」に分離しているものと考える。非物質は「物質的世界」においては表面的には現れてこないものである。ここにおいて、物質的世界を「表現された結果としての世界」と捉えることによって、非物質世界を「表現されるものの原因の世界」と捉えることが可能になる。「原因をあたえる」と「結果が表現される」と考えることによって「原因を内部変数と捉える」ことが正当化される。内部変数というのは、数学の世界で関数を、

y=f(x)

の如く記述することに倣っている。y が表現された結果としての物質で、x が表現の原因としての非物質で、f というのが表現するという過程そのものである。

 

少々前置きが長くなってしまったが、ここまでの流れに従って、

 

A(B)

 

と書くことによって、

 

物質の情報量(非物質の情報量)

 

を意味することにする。尺度は情報量で一元化している。

 

「単位1」を定めることによって、1より大きいとか小さいとかいう尺度が生まれてくることになる。この延長線で、ゼロとか無限とかいうことが相対的に生まれてくるというものの見方が実数の世界である。

 

つまり「何ものかを単位として世界をみる」ことを究極的に推し進めていくことによって、その単位存在に対する「極大」および「極微」という存在に相対的に至ることになる。注意しなければならないことは、「極大」および「極微」というのは、表現された結果の世界での尺度であるということである。

 

#《陽》と【陰】のカップルで考えたように、相補的な《陽》と【陰】のペアのなす全体性は恒常的なものである。つまり《陽》の側の情報量が肥大したときには、【陰】の側の情報量は自動的に抑制されて、全体としてのバランスを保つのである。すなわち《物質の情報量》と【非物質の情報量】は全体としてバランスが保たれるようになっていると考える。

 

物質の情報量(非物質の情報量)

 

という表現は、自己にとって外側にある「環境(あるいは非自己)」を内部変数として自己にくりこむという方法であると言ってもよいが、それは《陽》と【陰】のカップルというのとほぼ同等の意味であることがわかる。

 

ここにおいて、人間から見た世界として、

 

宇宙   ∞ (0)

人間   1(1)

素粒子   0(∞)

 

という3段階の表現を得る。それぞれの存在が《陽》と【陰】としてバランスを保っており、《陽》と【陰】の全体としては等価であるという考え方のもとに自然に行き着く結果である。『宇宙、人間、素粒子』とは小林昌俊博士の言葉である。

 

人間がこの世界で ”ちょうどよい中間的な存在” であると感じる理由もここにあると考える。ただし「非物質の世界」が実在しない場合はこの限りではないわけであるが、現状のところ「非物質の世界」を否定する論拠はなさそうである。

以上において、究極の理論というものは、本来はその理論自体に名前をつけることができないものなのかもしれない。しかし、実際の便宜においては「名付け得ないもの」に対して「名前をつける」ことも可能なのであって、適切なイメージを伴う言葉があてがわれるのだろう。私個人としてはそういった理論に対して「なんでもない理論」という風に呼んでみたいとも思っている。そのように力の抜けた、ある意味素直な理論があっても良いのではないかと思う。
#まとめ
・「万物の根源は○○である」といった時に、○○の内容如何ではなくて、その表現が抱える構造自体をみなければならない。
・それを記述する意識も、当該○○から構成されることになるので、○○になりきってみるという試みが重要である。
・自己にとって外側にある「環境」を内部変数として繰り込む方法の導入。表現としては、自己(環境)と書く。
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