二つの波の同期と寝起き時間

 

三木成夫 先生の本に触発を受けた。
本のタイトルは「人間生命の誕生」

いつか三木成夫の本はちゃんと読もうとは思っていたのだが、
2019年新春、大阪府高槻市のとあるカフェでめぐりあい、持ち帰らせていただいた。(お客さんが本をおいていって、自由に持って帰って良いという本の棚があり、贈与経済の恩恵に預かった。どんな人がこの本をおいていってくれたのだろう。ありがとうございます。)

 

本の内容は、短編のものが収録されており、とても読みやすい。
それでいて三木成夫先生独特のものの見方や完成、息遣いが伝わってくるような本で、
入門用にはうってつけだ。

 

独特のものの見方とは、例えば以下のような表現からも伺える。

 

生きているのは ”すがた・かたち” であって ”しかけ・しくみ” ではない(P8)

 

すがた・かたちの学問体系の基礎は、ゲーテの形態学(Morphologie)によって確立されたという。人間独自の”すがた・かたち”を人間の原形(Urtypus)という。以下の文章は人類の史観を端的にとらえているといえよう。

 

さて、心情の覚醒によって体得された森羅万象の ”すがたかたち” は、やがて人類が精神の稲妻に打たれた時、そのいわば幻の像がひとつの鮮やかな映像として刻々の瞬間に固定されることとなる。ひとびとはその映像をさまざまな方法で表しそこに豊かな造形の世界をくり展げてゆくのであるが、しかしやがてかれらの関心はそのかたちの持つ法則性いわゆる ”しかけしくみ” の方に向けられ、そこで自然科学の目ざましい世界を開拓してゆく。それは上述の精神の発達に歩調を合わせて進行する過程であるが、じつはその一方において、この精神がいつの間にか人間の中に強大な自我を確立させ、そこで自然科学の目覚ましい世界を開拓してゆく。それは上述の精神の発達に歩調を合わせて進行する過程であるが、じつはその一方において、この精神がいつの間にか人間のなかに強大な自我を確立させ、これが無常の流れに逆らっておのれを不動のものに固定する。世界が人間を中心に動くというひとつの錯覚がここに生れ、そしてまさにここから、自然の ”しかけしくみ” を逆用して、おのれの飽くなき欲望充足に役立たせようとする今日の世相が成立することとなる。それは、心情の支えを失って精神に憑かれた自我者の集団が、この地球の自然を文字通り「原形」をとどめぬまでに掘り返し、彫り尽くして倦むことがない昨今の光景が如実に象徴されるであろう。それはカルチャー(culture耕作)の終焉を意味する。

 

これは例えば岡潔先生の言うこととも大変親しいものがあるように思われる。三木成夫先生と岡潔先生の対談があるならば見てみたかったものである。

 

さて、引用を続ければ面白い箇所はいくらでもあり、読み込んで身に着けていきたい内容も多い。今回は、最後に、「波、リズム」ということを考えたい。「太陽」と「月」(さらに、「星」)のリズムを身体で理解したいという思いはかなり前からありました。とくにそれらは、体内の「水」への影響もあるとおもわれ、それが人間の精神にも何らかの作用を及ぼしうるのではとも思っていた。

 

 

生活を左右する「体内時計」その①

──動物も人間も「潮」と「光」の懐中時計をもっている

 

学生時代の長い休み──とたんに 夜が楽しくなったものだ
しだいに ”夜ふかし朝寝坊” とうとう 寝るのは明け方に……
こいつはやばい サァ 早寝早起きだ! しかしなかなか寝つかれぬ
朝は朝で起きられぬ 無理して起きても からだはグッスリ眠ってる
そういヤ 受験時代 夜昼とっ違えたこと あったっケ
そのときヤ そのまま夜までズラし もとに戻したものだった
なぜか 少しも辛くなかった スゴく能率よかったンだ……。

 

睡眠実験──地下のワンルーム 時計なしで毎日毎日
寝て起きて また寝て起きて 二週間で地上へ出たら──
なンと 夜だ! ナンだコリャ また地下にもぐり
ふたたび二週で地上へ出る よかッタ よかった 無事に 昼だ
ところが一日足りぬ 計算したら 毎日五十分ずつ ズレていた……
不思議だナア じゃア俺がやる──アリャリャ やっぱりおんなじだ
一日 二十五時間だア!……これだったのか 受験のときは。

 

海の生きものは 潮の満ち引きで 寝起きする
ゆっくり自転する 地球の海面が 月の珠に 吸いよせられたり
ゆるめられたり…… 朝な夕なの 満ち引きは
”潮汐リズム” と名付けられる そこでは 月は 地球を巡るので
地球は自転に 時間がかかる 五十分ずつ ズレるのだ
いったい この「ズレ」は…… まさか! あのズボラのズレと
いや 実験のズレと 関係あるのじゃ なかろうなア……。

 

海の生きものは しかしやがて 磯辺に近づくと しだいに
明け暮れに 目覚めてくる 二十四時間の ”昼夜リズム” が
やんわりと 潮汐リズムに ”干渉”を始めるのだ
水槽のムツゴロウは 故郷有明海の 満潮の時刻を知っている
しかし かれらが チョロっと 人工巣穴から 顔出すのは
同じ満潮でも 夜の方がずっと多い 暗いのが好きなのか
かれらは だから 二週間おきに ”夜行族” ──
「潮」と「光」の「体内時計」が そうして 共振起こすのだ。
脊椎動物の遠い祖先は 古生代の昔 陸に上がった
サンサンと注ぐ 日の光に ”潮時計”は その身を潜めていったのか
にわかに響きわたる ”光時計” の チックタク・チックタク
しかし やっぱり その陰で いあっも蠢きつづけるか……
遠い海洋のうねり 海の生命記憶の ちっくたく。

 

 

「潮」と「光」の懐中時計…。

なんとも痛快な表現である。
太陽と月の暦的な周期が、だいたい同じであるがちょっと噛み合わないということが豊かな様相をつくっているようだ。

 

太陽のリズムが大きなサインカーブを描いているとしたら、月のリズムがそのサインカーブの上でサインカーブを描いているようなイメージである。(ちょっと、作図は省略)

 

何が言いたかったかという結論は:

新月の頃は早起きしよう
というわけでした。

 

いろんなもののリズムを内包し、想像しながら生きていきたいとおもいます。

 

同書P81には、

 

お釈迦様の悟りは天のリズムと人のリズムの調和ではなかったかと思う。

 

ともある。

 

目に見えない世界の話を、神秘に閉じ込めておくのも良いが、
生命・生物の観点から、意識・無意識・身体感覚・内蔵・腸・脳、といった観点から進化論的な視点も含めつつ理解していく努力も大切なことだ。そもそも、われわれは身体を物質と思っているが、そういう見方自体も問い直すべき余白を多く含んだものだ。

 

あとは、生活の中で実践あるのみ。

投稿を作成しました 9

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

関連する投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る